王子なカノジョと姫なカレ


その行動にハッとして慌ててその手を掴んでカレを見つめる。

「ちが、違うから!」

「…庵治さん?」

握っている手に力を込めたまま媛山くんの前髪を上にあげ、目の前にある漆黒の瞳をのぞき込む。

「なんて言うか、前と全然違ってすごくかっこよくなってたから。
その…少しびっくりしただけであって、決して似合わないとかじゃなくて。

だから、せっかく似合ってるのに隠すなんて勿体無いって…お、思ったよ」


よほど声が大きかったのか、騒がしかったその場がしん、と静まり返る。

そして少しの間のあと、生徒たちが囁きあう。


「ねぇ、今のすごかったね」

「ほんと。でもなんかいつもの王子じゃなくてさ…」

「あ。それわかる、あたしもそれ思った」

「うんうん、ちゃんと女の子に見えたよね」


ちょっ、…そこの女の子たち。
ばっちり聞こえてますけど…。

というか、ちゃんと女の子に見えた、って言われても。

これでも女なんだけどな。

でもまぁ、見た目と普段の言動が男っぽいから仕方ないかなー…。