「佐伯。入ってきなさい。」
挨拶。だってさ。僕の嫌いな。
「はーいっ」
適当に返事するけど、個人的にはやらずに静かに席に付きたい。
一刻もはやく。
「佐伯、蒼と言いますっ、みんな、よろしくねっ!」
僕の出来る限りの愛想を振り撒く。
これが僕の限界だね。
「佐伯は窓際の一番後ろなー」
「はいーっ」
案外いい席じゃないか。
よきかなよきかな。
「隣の席の…相川さん?…よろしくねっ!」
「あ…、よろしく…」
僕が挨拶したら、少しビクッとしてから、顔を伏せて挨拶してくれた。
澄んだ声だけれど、
予想に反して恥ずかしがり屋なのかな。
控えめな位置に括ってあるツインテール。
黒縁眼鏡、少し童顔なぺったんこ女の子。
かわいいけど、タイプではないなぁ…?
「あっ、あの、何か顔についてますか…?」
「えへへ、ついてないよー」
ずっと見つめてたから、少し不審そうに訊ねてくる子。
あれ?
やばい少しどころじゃない不審な目で僕を見ている!
警戒されちったかーっ
「あまり、みないで下さい…ね?」
「うん…、ごめんっ」
顔を耳まで赤くさせて、注意してくる子。
そんなに嫌だったのか、これからは、控えよう。(見ないとは言ってない)
これが、僕達の最初。
一番、最初。