不器用な恋愛



下を向いた藤本さんの口元が微かに動いた。


本当に小さな声だった。


「…そうだよ…」


「…えっ?」


「でも…ダメなんだよ。」


藤本さんの瞳が一瞬揺れた気がした。


俺はその姿に思わず泣きそうになった。


あまりにも切なくて


あまりにも悲しくて…


さっきまであんなに訴えたのに


今は何も言えない。


…真実を知ってしまったから。