｢……っ！｣


そこには兄ちゃんが立っていた。

不思議そうに俺を見つめる。


｢どうか…したか？｣


俺は焦りと動揺とで


何も話すことができない。


どうしよう…どうすればいい？


｢…宏？｣


｢に…兄ちゃん…！｣


｢ん？なに？｣


兄ちゃんは優しく笑いかける。


今言うべきか？…今しかないかもしれない。


｢岩崎瑠璃…って…知ってる？｣



｢えっ…？｣



兄ちゃんの目を見たとき


胸が締め付けられた。



兄ちゃんの表情は


明らか雲っていたから…。