「わかってる。そんなの…わかってる…。
映画みたく上手くはいかない。
そんなのわかってるよ?」
だから…か?
だから俺とあの映画を?
「宏は鈍感だから…私の気持ちなんかわかりっこない。
…って琢磨くんが言ってたのほんとだった。」
「琢磨が?」
あいつ…知ってたの!?
「…返事は言わないで?」
「へっ?」
「私は宏が好き。…それだけでいい。
叶わないって解ってたから…」
そう言うと美幸は目線を下に落とした。
マスカラが付けられた長いまつ毛が涙で濡れている。
それだけで物凄く切なくなった。
これは何で?
好きだから…?
…違う。
応えられないからだ。
美幸の気持ちに…


