君の声が聞きたい


今朝の登校からイライラして仕方ない。
嫌っていたはずの言葉をあっさり使った俺自身にも、何言われても笑ってる先輩にも。


「クソッ!」


今日に限っていつもと違うヘッドホンが憎い。
上質な音にすっかり慣れていた所為で響かない音が余計に俺を苛立たせる。
帰りに今度はコードの切れないBluetooth搭載のヘッドホンでも買うか。


「今日は午前中まるまるサボってやっと教室来たと思ったのにずいぶん荒れてるね。」

「別に…。」


伸也が弁当を頬張りながらあからさまな溜息をつく。
そのままズイッと身体を乗り出すと俺の頬に手を伸ばした。


「いひゃい。」


頬を引っ張られてる事に抗議の視線を向ければ伸也はニヤリと笑った。
どうせっ、と言いながら頬を解放し椅子に座りなおす。


「あの先輩と何かあったんだろ?」


言葉に詰まった。
引っ張られて僅かにジンジン痛む頬を摩りながら俺はそっぽを向いた。
何したの?と楽しそうに身を乗り出す伸也にデコピンを食らわす。