あたしは朝からずっとジャックについて行ったけどなにも教えてくれない


時は残酷でもうすでに夕暮れ時


それでもジャックは動じない


「今日の日付が変わればこの世界は無くなっちゃうんだよ?」


あたしが言ってもジャックは振り向きもしない


「少しくらい話してくれたっていいじゃない」


あたしの叫びも虚しくジャックはただ前を向いたまま


「光もう十分ですから」


ハクがあたしを気遣ってかそういった


「でも…」

あたしが下を向く



「でもこのままじゃみんないなくなっちゃうんだよ?」


「ねえ光はどうしてそんなに必死なの?だって光はこの世界の人じゃなくて異世界の人でしょ?この世界がなくなる前に元の世界に帰れるのにどうして?」


あたしの言葉にミルが返す


そういえばそうだよ


あたしこの世界に何の関係もないのにどうして必死なんだろ


でもそんな事くらいもうわかってたのかもしれない


「ミルありがと。あたし何かわかった。絶対にジャックを連れて行くから。だから女王のところにいて?」



そういうとみんな一斉に城に向かう



そうだ


あたしが叫んでもジャックに伝わらないはずだよ


だってこの世界が大事って伝えきれてないもの


どこか使命感があったから


だからもう一度あたしにチャンスをください


あたしはジャックに近づく


「ねえ教えて?」

「だからしつこいって」


「あたしこの世界でたくさんの人に出会った。悲しい思い出も楽しい思い出も少ししかいないけどたくさんたくさん思い出がある」


言うんだ。少しでも伝わるように



「あなただってそうじゃないの?この世界なくなったらそれが全部なくなっちゃうんだよ?」


「そんなこと俺はどーでも…」


「お願い。あたしがこの世界の1人としてそう願ってるから。それにあなただって女王のこと今でも好きなんじゃないの?だからこの世界がなくなってもいいって言ってるんじゃないの?」


「そんなこと…俺が全部わかってる」


振り返ったジャックは涙を浮かべ今まで以上に弱々しかった



「でもどうしていいか分からない。俺はただ女王に幸せになって欲しいから別れた。身分の低い俺といれば非難を受ける。だから俺より他の人の方があいつは幸せになれるから」


「それは違う」

あたしが言うとジャックはきっと睨む


「身分とかそういう問題じゃないと思う。やっぱり好きな人と入れる方があたしは嬉しいと思う」


ジャックは何かホッとしたように肩を下ろす


「行こう女王のところに」