「俺はフウ。世界三大盗賊の一味、草陰団の団長だ」


さっき助けてくれた小さい背の男の人


小さいけどあたし達よりは年上らしい


草陰団は城下町の端の端の端にあるひっそり佇む場所


草とかツルとかで覆われてたんだけどやっぱり枯れていた


「簡単に盗賊団の団長ですとか言っちゃっていいのかよ?」


スグルが怪訝そうに見る


「まあね。君たち外の国のものだろう?」


そうだけど…

よくわかったね

「ああ。そのシロツメクサの冠外したほうがいいよ」


「なんで?」

「シロツメクサの花言葉知ってるかい?」


「幸福、約束、私を思って、私のものになってあとは復讐ですよね?」


ユウがフウの問いにスラスラ答える


「へー君よく知ってるね」


「花言葉は全て頭にありますから」


ユウは不敵な笑みをうかべる


「草の魔法を使うものは必ず一つ花を持って生まれるんだ」


「どういうこと?」


あたしが聞くと

「体の一部に花を持って生まれるんだ。俺は頭に生えてる。見せられないんだけど…例えばね、ロイちょっと来てくれ」


ロイと呼ばれたその人は背が高い男の人


「ロイはアイビーを持ってる」


フウがそう言うとロイは脇腹あたりに生えてるアイビーを見せる


この葉っぱそういえばさっきあたし達を助けてくれたツタに似てる…



「こんな感じで持ってるんだ。持って生まれた花は草魔法に影響する。例えばロイならアイビーの魔法が使えるんだ。だけどそれ以外は無理」


「へーでもそれが何の関係があるんだ?」



スグルがわけわからないとでもいうようにみる


「この国にはほとんどが草魔法を使う。そして花言葉を特に気にするんだ。だから悪い花言葉の花を持てばそこに差別が生まれる」


「なるほど。シロツメクサの花言葉…復讐。だから避けてたのか」


「そういうこと」


フウはお見事とユウに拍手を送る


「それに見えるだけでも、睡蓮、クロユリ、トリカブト…この団は悪い花言葉ばっかだけど?」


「君みたいに感のいい人は嫌いだよ…知ってる?悪い花言葉の花を持てば捨てられるんだ。いい花を持てば重宝され、闇のルートでは高く売れる。つまりわかるでしょ?なぜ僕たちが盗賊団やってるか」

「ああ。つまり依頼が入れば指定された花を持った人を誘拐し、それで稼いでるんだろ?」


それ犯罪じゃない?


「この国ではそれが常識だ。俺達みたいな花を持てば仕事だって貰えない。これしか生きる方法はないからね」



その場が少し暗くなる


「この話は終わりにして、今この国では異変が起きてる。どうやら女王に異変があったらしい。俺たちもこのままじゃ困るんだ…ってことでお前達行ってこい」



「はあ?なんでだよ」


「助けたお礼だ。あと外の国のものは入れてくれないだろうから、これ着てけ」


そう言ってあたし達の前に服を並べる


「シュリが服を作るの得意でな。この国の人は大抵いい花の衣装着てればいい顔をするんだ」


シュリと呼ばれた女の人があたし達の近くに来て


「あなたはこれね。ローダンセをイメージしたの」


そう言ってあたしにピンクの見たことないような花とそれを形取った服をくれる


「あなたは…丁度いい大きさこれしかなくて、ひまわりをイメージしてるの」


「ひまわりの花二個ある!」


そう言ってミルはひまわりをユウに見せる


「あなたはこれ。赤いチューリップ」


「俺こんな目立つの着るのかよ」


とスグルが文句をいう


「あなたはこれね。桔梗の花のイメージだよ」


「ありがとうございます」

ユウは丁寧に頭を下げる


ユウとスグルの違いって多分ここだよね…

「で、最後はあなた。トルコキキョウよ。これだけたまたま花に見立てた眼帯あったからこれつけてみて」


「感謝します」


ハクはそういうとみんなに見えないように眼帯をつける

服以外にもらった花はやけにリアルだった


どうやら縁起のいい方の花で、これを頭につけてれば城に入れてくれるらしい


ミルだけなぜか花が二つなんだけどね


あたし達は着替えると草陰団を出る