トトトッと駆け足で走ってくる音がして次にドンっという音が響く


緊張しているのか急ぎすぎて転んだみたいだ


「いったー」


少女が立ち上がると高い位置で結んだ長い茶色のツインテールの髪が風になびく


マイクを両手でもち


「えっと。ミルって言います。今日はよろしくお願いします」


そう言って深々と頭を下げる



「おかーさん妖精さんに羽生えてる」


前の男の子が嬉しそうな顔でいう


よーく見てみれば羽が生えていた



ミルと名乗った少女は顔をあげてニコッと笑う


濃いピンクの目がとても綺麗で、妖精さんみたいだなって思った



顔は幼い顔をしていて、身長も低いのにやけに胸あるような…


いいなーと思って見ていると、アルファベットベットのYの文字を少しひねったような形の入れ墨が、左胸にあるのが見えた



「あ!あれって」


あたしは思わず叫び立ち上がってまった


会場のみんながこっちをジッと見ていた


「あっあはは…ごめんなさい!」


あたしは座って顔をかくす


恥ずかしいことしちゃったよ…


「どうしたんですか?急に立ち上がって?」


「あの子の左胸見て」


不思議そうな顔であたしをみてから、向こうをみる


「あの子小さい割に胸大っきいですね」


「そこもあるけどそこじゃないわ!」


あたしは思わず叫んでハクの頭を叩く


また会場の人にジッと見られる


「あっあはは。二度もごめんなさい!」


またやっちゃったよ


恥ずかしい


ハクは

「ドンマイ」


といって親指を立てる



ドンマイじゃないってば


「それで結局何だったんですか?」


「だからあの子の左胸に入れ墨があるのよ。白羊宮の」


白羊宮…いわゆるおひつじ座だ


ハクはまたミルの胸元を見て


「ほんとだ!あの子の胸に入れ墨がありますね!!」


ハクも叫び立ち上がる



また会場の人に睨まれるあたしたち


「いやーなんどもすみませんね…」


あたしもたってそういうとすごい大きな男の人があたし達の前に立つ



「うるさいので、出て行ってもらいますか?」


「え?あたしたちまだ少ししか見てない」


「いいから出ろ」


大きな男の人はあたし達の服をつまむと、会場の外であたしたちを投げる



「痛いじゃない!」


あたしが男の人に向かって言うが、その人は無視して帰ってしまう



「追い出されてしまいましたね」


ハクが会場を名残惜しそうにみる


「少し叫んだくらいで…なんなのあの人!」


あたしは会場の方を見て、文句をいう


まあ言っても仕方ないんだけど


「これからどうしましょうか?」


ハクが立ち上がる


「どうするって決まってるじゃん!ミルとか言ってたあの子に会いにいくよ」


あたしは親指を立てて、グットサインをつくる


「でもまだイベント中ですし…」


「まあそこはなんとかなるかな…」


ハハハハッとわらってごまかす


「とりあえず探すよ!」


「待ってくださいよ」


あたしが走るあとをハクが追ってくる