実際にリョウの事が好きな女子は何人かいた。

穏やかな口調と爽やかな笑顔。
私たちは仲が良かった。
それは、決して女として見られているわけではないけれど、席がいつも近い私はその空気が心地よかった。

リョウは頭がよくて勉強も教えてくれた。

「バカだな、お前」

そんな憎まれ口を言うときでさえ、優しい口調で頭をポンポンするからますます好きになってしまった。

一度余りの仲の良さに、付き合ってる噂が流れたけど
リョウはあっさり否定した。
だから私は告白はしないと決めていた。
この関係を崩したくない。
隣の席で、笑顔が見られればそれでいい。

そのバスだったのに

「お前が1番落ち着くな」

なんて中学生のクセに、当たり前の事のように言うから
中学3年生の冬
学校生活も残り1ヶ月バレンタインデーに告白する事にした。

リョウは県内一番の進学校に進学が決まっていたし、
卒業で離ればなれになる。
後悔したくない。