朝目が覚める、まだリョウは眠っている。
女の子のような綺麗な肌、華奢な身体。
ちゃんとご飯食べているのかな?
この身体で、頑張っている。いとおしかった。

私はベッドからそっと抜け出して、朝食を作った。

「味噌汁の匂いで目が覚めるなんて、幸せだね」

リョウが布団から顔を出す。

「おはよ」

こんな事しか出来ないけれど、笑ってご飯を食べてくれたなら幸せだよ。
二人でゆっくりと朝食を食べる。

「もうすぐ夏だね」

「そう言えば夏休み電車で、海に行ったな」

「そうそう、受験生だから勉強するってみんなで親に嘘ついていったんだよ。日焼けしてバレて」

「また行きたいね」

私たちはまだ過去の中いる。
思い出の中に。
平和だったあの町に。

未来を語りたいけれど、笑顔で話せる自信がないから。
未来から今から目を反らして、思い出の中に。