目覚めるとリョウの顔が近くにあった。
こんなに近くで見るのは初めてで、キレイな顔してるなと思った。
きっと大変な事があるだろう。でも、リョウには幸せになってほしい。
覚悟を決めなければ。

殆ど眠れなかった頭で、考えた。

「おはよ」

リョウが起きて、抱きしめられる。
地元から100㎞の場所で成功して、堂々と地元に帰る。
私もその時は、地元に帰ろう。
あの何もないでも、思い出の詰まったあの場所へ。

昼食を食べに外に出る。
夜とは一変して、昨日の事が夢の様に感じた。
日差しが眩しい。

昼食を食べた後、あてもなく歩いた。
手を繋ぐ。

「あっ 神社?」

都会にひっそりと佇む小さな神社。
地元の学校の近くにも、小さな神社があって皆で寄り道して、語り合ったっけ。
神様は裏切らないとかで、告白スポットになっていたけど、恋が実らないと神様のせいにして
ご利益がないとか勝手に怒っていたよね。

たまたま告白の場面に遭遇して、息を殺して
覗いたりして

「ちょっと寄ってみようか」
私は頷いて神社の境内に足を踏み入れた。