「それ」から、パジャマンには様々な質問が投げかけられた。
内容としては、「もし○○という状況に遭遇したらどう思うか」というもの。

その結果、パジャマンの全ての回答において、「嫌悪」を象徴する言動が見られなかった。
これが啓斗の言っていた「欠詞」の影響なのだろう。

しかし、ここまで完全に感情が消えているとは思っていなかった。

そして、せいぜい数回質問を繰り出せば思い出すんだろう、そう高を括っていた。

そんなことは全くなく、現に目の前の「嫌悪」を忘れた男は、質問攻めにあったことで訝しげな表情…の代わりに不思議そうな顔をしている。

私は、まだ諦めず質問を投げ掛けようとする二人を制止し、場を落ち着かせた。