「おい!チビ!」

聞きなれた、いとしい声が聞こえる。

「うっさい!」

私は振り向いた。

「なんだよー」

そいつは満面の笑みで私を見つめた。

「っ……」

そんな顔でこっちを見ないでよ。

「それ以上縮むなよー」

私を追い抜くとそいつはそのまま教室へと入っていった。

「りーりや!よかったね。喋れて!」

友達の言葉が右から左へと流れていく。

私の目には耳にはさっきのあいつ、黒瀬成人の笑顔が、声が嫌という程こびりついていた。