きっと彼の事だ、効率がどうとか言っていたし、こっちのが保つとか早いとかそんな理由で隠してたんだ、この方法がある事を。食べさせる気満々だったんだ、出来る事なら食べさせたかったんだ。
「…面倒臭ぇけど」
ほらやっぱり!
「…私、本当に極限まで追い込まれたんですけど」
「あぁ。無理だったな」
「む、無理ですよ!どうせ無理だって分かってたクセに!」
人間だって分かってると言われた時、ホッとしてなんて良い人なんだと、信頼感が上がっていたというのに…さっきまでの八つ当たりみたいな言い様にも心の中では悪い事をしてるって思ってたのに…!
「意地が悪い!サエキさんには優しさが足りない!」
「あぁ?無理矢理食わすぞ人間」
「……ごめんなさい」
…怖い。目が本気だった。
「まぁ仕方ないから少し待ってろ。今呼んだ」
「へ?呼んだ?」
「あぁ。点滴出来る奴」
「え?サエキさんがしてくれるんじゃないんですか?」
「俺には出来ねぇよ、食うからしないし。した事ねぇし」
「あ、そっか…え?じゃあそれって点滴した事がある人って事ですよね?つまりーー」
「あぁ。元人間の死神だ」
息を呑んだ私を横目に、「安心しろ、信用出来る奴だから」なんてニヤリと笑うサエキさんが居た。…どうしよう、信用出来ないかもしれない。



