サエキさんの影に隠れるように室内に入ると、なんだか言いようの無い変な感じがした。
モワッとした嫌な感じがある。でもフワッとした良い感じもする。
なんだろう…死神になる前には感じた事が無いと思う。嫌悪感が酷くあるのに、気持ち悪いとすら感じる様な気がするのに、それでもどこか惹かれてやまないというか…どうしてもなんだか、これは…
“美味しそう”
ーーハッとした。気が付いてしまったのは、身体が自然と求める感覚。
「…美味しそうって…思った?」
「だろうな。求めてんだろ?身体が」
「!」
ポツリと呟いた言葉にサエキさんの声が返って来て、私は自然と視線をサエキさんの方へと持っていった。するとサエキさんがこちらに振り返っていて、その目とバッチリ目が合う。
「ワクワクするだろ?フワッと香ってくる気配に」
「…香ってくる気配?」
「本当に匂う訳じゃねぇけど、気配をフワッと、濃厚なのに何故かほんのり感じる感じが香る感覚と似てるだろ?だから魂が香るって死神は表現する」
「……」



