「私は出来ないんですか?見えなくなったり」
「出来ねぇな。人間だから」
“人間だから”
返って来た返事に、半分でもやっぱり人間である私は死神側からしたら人間なのだろうと、そう思うとなんだか嬉しくなったりした。
やっぱり私は人間でありたいのだと思う。
「…来た、その家の中だ」
歩き出した私達だったけれど、ふとした所で端末を確認したサエキさんがピタリと止まった。
前を見やるサエキさんに続いて私もそこを確認すると、目の前には古い一軒家が立っていた。
長い間手入れがされてません、みたいな、なんだか鬱蒼とした庭に、薄暗い家の中。外から見ても人の気配を感じられない、むしろ居た方が怖いようなそんな近寄り難いその家を見て、思わずギョッとしてしまう。
ここに行くの…?と、サエキさんに目をやると、彼はそんな私と目を合わせる事なく迷いの無い足取りで進み始めたので仕方なく私もついていく事にした。
…というか、ついていかない、なんていう選択肢は私には用意されて無い。それが出会ってからの短い間で築かれたサエキさんと私の関係性である。



