死神のお仕事


私の知らない所で入れ替わった、私の知らない死神の言葉。でも、思い返せばどれも記憶の中のその人は、いつも私を想ってくれる、誰よりも素敵な人だった。10年という事は、小学生の頃に亡くなったのだから、赤ちゃんの頃から私を傍で見守り、育ててくれたという事。私の為に生きた死神は、私の傍に確実に存在していたという事。

そんな彼女が最後の最後、私に生きて欲しいと願ってくれた。生かそうと、全てを懸けてくれた。


なんて大切な言葉なのだろう。私の、一生の宝物だったのだ。


「…だからそれが、心なのかと思った」


サエキさんが私を見た。長い前髪から覗く、黒い瞳がジッと私をとらえる。


「理屈では理解出来ない答え…心が、あの人が全てを懸けた答えがここにあるのではと思ったら、おまえを死なせるのは惜しいと思った」

「…だから、私を助けてくれたんですね」

「そう。でも間違いじゃなかった。おまえと話して、おまえの選ぶ行動を眺めるうちに、おまえはあの人の辿り着いた答えを知る、心を手に入れる最後の希望だと思うようになった。おまえがおまえらしく居る事が、俺に心を教えてくれる、そんな日々だった」