死神のお仕事


どうでしょう?と、青白い顔色で、首を傾げ、美しく微笑むキリヤさん。弓形に細められた瞳の奥が見えない。ギラギラと、ドロリとしたものも細められた事で隠されてしまっている。

どうしよう、どうしよう。私にとって何も悪い事は無い。どうせ藁にもすがる思いでセナさんに接触したのだ。これしか方法は無い中、サエキさんに会いたいと、気持ちに決心がついた。それはここまで来る一歩を踏み出したから。そして、ここで頷けばサエキさんに会う事が叶う。


「…わかりました」


踏み込もう。動かなければ、何も変わらない。何もなく戻った所で、あのマンションにはもう入れない。無い味覚と、点滴の必要な身体だけが死神を証明するだけの、人間としても不完全な毎日を、ただ送るだけ。そんなの、私には耐えられない。

ギラリと、キリヤさんの瞳が光った。


「では、身体の事ですので、口頭の約束だけでは不安でしょう。ここにサインを」


差し出されたのは、契約書。ハッと、私の中の記憶が蘇る。


ーー『そんな事よりおまえさ、これからはよく分かってない契約書にサインなんかすんなよな?これ一つで人生一変するような事にだってなるんだからさ』


…今が正にその時だった。