「おまえ、人間は嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いだよ。でもこれは違う」
「違く無い。人間だ」
「人間じゃ無いよ、でも死神でも無い」
「じゃあ何なんだって言うんだ?」
「食糧。嗜好品、おやつ、デザート」
「……」
「生きたままの魂なんて食べた事無い、有り得ない。でもここにあるっていうのはさ、あんたも興味があったって事だよね?」
「良いよね、あんたは何でもやりたい放題出来て」そう金髪の彼が口にした瞬間、グッとーーなんだろう、重くなった。私達を取り巻く空気が変わった。
「…そんな訳無いだろう。いい加減にしろ」
聞こえてきた、サエキさんの声。背中に隠れてしまって表情までは窺えない。でも…分かる。この空気を作ったのはサエキさんだ。
サエキさんのその声は地を這うように低く感じ、聞いた事の無い声色が私の芯をゾッとさせた。
サエキさんがーー怒っている。
その雰囲気に私はすっかり飲み込まれてしまってグッと息を呑んだのだけれど、どうやら目の前のこの人は違うらしい。
「そんな訳無い?」
ケロリとした様子で言う彼は、挑発的にサエキさんと対峙する。



