笑っていた。笑っていたけれど…そこにある瞳は違う。いつもの暗い、死神の瞳。だけどそこに何かが見える瞳。でもアラタさんのものとも違う瞳。ギラリと鈍い光りを灯す瞳は、未だ見た事の無かった種類の死神の瞳。
…ダメだ。
その瞳でジッと見据えられた私はまるで蛇に睨まれた蛙のように、ピシリと動きを止め固まる事しか出来ない。
ダメだ…もうダメだ。
全身が恐怖で埋め尽くされて、身動き一つ取れなかった。食糧だよ、その言葉が本物なのだと理解せざるを得ない。…だって、
「あんた…美味しそう」
そう言って舌舐めずりをするその姿は、私には完全に捕食者のそれにしか見えなかった。見えなかったのだ。
もう…ダメだ。
そのまま近づいて来る顔にギュッと目を瞑ったーーその時だった。
「言ったよな、セナ」
聞こえてきた声と共に、感じていた圧迫感がふっと無くなる。
不思議に思いそっと目を開けると、あれだけ近かった金髪の彼との距離が離れていて、もう私にその視線は向いていなかった。そして彼の向ける視線の先、目の前にはもう一人、人が増えている事に気がついた。
「それは俺のだ」
そう言って、私に目を向けるその人はーーサエキさん。
サエキさん、間違いなくサエキさん本人だった。



