「や、やめて下さい!何なんですか⁈ 」
「?」
「一体何のつもりなんですか?さっきから私には言ってる意味すら分かりません!とにかくまずはサエキさんに連絡してっ、」
「だからダメだって、言ってるよね?」
「し、知りません!やめて!来ないで下さい!」
「来ないで?」
「嫌っ、これ以上はもう…もう帰って下さい!」
…一体、どうしてこんなにも拒否しているのか。具体的な何かをされた訳でも無いのだけれど、身体は察知した感覚、感情に素直で必死に叫んでいる。目の前の彼が怖い。この人は危ない。離れなければ、離れなければ。
しかし、後ずさりながらじわりじわりと距離を離す中で、突如やってきたのは絶望。
背中に感じる壁の硬さに、詰め寄ってくるその人からの逃げ場を失った事がハッキリと分かった。今更この距離で左右に逃げられる訳が無いと改めて確認するや否や、ゾワッと全身を何かが走り、その後足元に空いた穴に落ちていくような気持ちになる。
ーーすると、死神は笑った。
私の様子をマジマジと眺めて、愉快そうな笑みを浮かべた。
「ねぇあんた、自分がどの立場に居るか分かってる?」
逃げ場の無い私にゆっくりと近づいて、じっくりと観察して、目の前でピタリと立ち止まる。私より高い位置にある顔が、私の事をジッと見下ろしている。
「あんた、食糧だよ」



