死神のお仕事



「独り…占め?」

「うん。そう思わない?」


…なんだろうこの人は。何なんだろう。


「それにしても、変わった匂い」

「え?」

「良い匂い…人間の匂い」

「!」

「と、胸糞悪い…出来損ないの、死神の匂い」

「……」


先程同様に、目の前のその人は大きく息を吸ってゆっくりと吐いた。まるで私の匂いをじっくりと嗅いでいるかのように。


匂い…鼻を使って嗅いでいるように見えるけれど、多分きっと違う。これは魂の気配が香るって言うのと同じだと思う。

自分でも経験があるから分かる。ふわっと漂ってきた気配を全身で感じようとすると、つい深呼吸をして大きく空気を取り込んでしまう。本当に匂いがする訳でも無いのに、つい匂いを嗅ぐ時のような仕草になってしまい、本当の匂いを感じるような気になってしまう。

それは私が死神になったから分かる事で…つまりこの目の前の人が、死神だという事で。

…て事は、どうにか話を逸らさないといけない。