「…そうですよね。サエキさん、特別ですしね…」
どこがどう特別でその分何が忙しいのか、私にはさっぱり分からないけども!なんて、心の中で毒付きつつ、私もしょんぼり同意した。
だって、このままこんな事をグチグチ言っている私では、ただのダメ人間になってしまう。あんなでも私の上司であり命の恩人なんだから、私も外側ぐらいはしっかりしないと。受けた恩を返す。御恩と奉公。きっとアラタさんにもそういう節はあるはずだ。
「うん。それに今はあかりちゃんが居るしね」
「…へ?」
「うん?」
「え、いや。わ、私ですか?」
「うん」
なんて思っていた矢先の、よく分からない言葉と、聞き返す私に平然とした顔で頷くアラタさん。
「それって私が何かしたと…そういう事ですか?」
まさか、この人使いの荒さの原因が私だったのかと、何も心当たりも無い、思い当たりもしなかった答えに恐ろしさを感じた瞬間、アラタさんは、「いや、何かしたとかでは無いよ」と、首を振った。
「強いて言うなら何か無いようにしてるんだと思うよ」
「…? 一人で急遽回収に行かされてるのに?」



