死神のお仕事



…その声が耳に入ってきた瞬間、今度は目の前が真っ暗になった。これは物理的意味では無く精神的な意味のつもりだったけれど、可笑しい。一瞬にして辺りを包む真っ白が私の心に同調するかのように真っ黒に変わっていく。


真っ暗な視界ーー圧倒的な圧迫感と、絶望感に包まれる。


だって私は死ぬ運命だったと、自分を死神だと名乗る男は言う。

それってつまり、私はあの日に死ななくても別の日に死ぬのが決まっていたという事だ。

あの日に私を庇った母の行為は、無駄に終わったという事だ。


母の死は、無意味だった。


私が死ななければ、意味が無かった。


母は本当の意味で、犠牲としかならなかったのだ。


「…運命は残酷だ。でもそれがおまえの、おまえらの現実だ」


淡々と話す死神の言葉が、嫌でも耳に入ってくる。これが現実だと、私に突きつけてくる。