あの時同様、こっちだよと誘われるような感覚がやって来る。纏わりつくそれは前回の屋内と変わらず、野外であるこの場所でも私を包んで離れない。離さない。でも…なんだろう。
わりと…楽?
気配やら匂いやら、じめっとしたような感覚やらは変わらない。でも不思議と気持ちの方は楽な感じがする。まだ魂を目の前にしていないからだろうか…それとも。
ーーピタリと、足が止まった。
それとも、私が死神に近づいたから…?
人間である事を確認して安心したり、死神になりきれない事で今の自分が見えなくなったり、でもこうして死神に近づく事をやっぱり恐れたりもして…なんだかもう、分からない。
どちらでもある事って難しい。死神としても生きたい、その想いに嘘は無いのに。でも死神は私が思っているものより違った。死神は遠かった。私はまだまだ近づく力も勇気も無い。
ひゅうっと、風が吹く。風に乗って香りが鼻腔をついた。
……あぁ、そっか。違う、違うよね。
恐れていてはいけない。前を向かなきゃならない。前を向く事、それは生きる事。
風に乗って香った気配は、私に告げた。ここに居るよ、早く来てと。
それが分かったのも、それに応えられるのも今は私だけ。
私が行かないと。
だって私は…私も、死神だ。



