カバンを長椅子に置いてその横に座る。
「珈琲飲む?」
コーヒーメーカーの前で天田先生が言う。
「先生それ聞くの何回目?私コーヒー飲めないってば。」
残念そうに1人分の珈琲を淹れる先生に苦笑を浮かべて首をふる。
天田先生は若い眼鏡の先生で、優しくてどこか他の先生とは違った雰囲気を持つ先生。
「かっこいいし結婚相手ならすぐ見つかると思うのに何で独身のままなんだろう。」
「ん?何だって。」
あれ、声に出ちゃってた。
「僕はね、この学校の可愛い生徒達全員が大好きだから結婚なんて出来ないんだよ…」
大袈裟に空を仰ぐように手を上げて言う先生。
「嘘つきですね。」
「バレたか…。だってあれ、結婚してる暇なんて無いんだよねぇ。」
養護教諭の先生ってそんなにいそがしいのかな。
「そうだ泡沫ちゃん。今日は教室、行ってみれば?」
「......何でですか。」
「今日ね、君のクラスに転校生が来るんだよ。まぁ、見てきてごらんて。」
天田先生が教室に行ってみれば、なんて言うのは初めてだ。
「今日ね、君のクラスに転校生が来るんだよ。まぁ、見てきてごらんて。」
ニコニコと笑いながらサァサァと保健室から追いだされた。
「転校生見てきて保健室来たかったら帰っておいで〜。」
「はぁい。」