ワスレナグサにこめて…





「ふぅ……」



一気に書き上げた手紙の隣にペンを置く。


静かな部屋に、ペンのコトン…という音が響いた。



コンコン。



「柚ちゃん、入るよ?調子はどう?」


「あ、神崎さん」



ファイルを手に持った神崎さんが部屋に入ってきた。



「手紙、書いてたんだ?」


「あ、はい…」


「痛みとかは?大丈夫?」


「あ、昨日寝る前に痛かったです」


「うーん、やっぱ多くなってきてるね…」


「そう、みたいですね…」



部屋の雰囲気が暗くなる。


だって、痛みが多くなるということは、病気が進行しているということ。


もう、長くない…



「神崎さん……」


「なーに?」


「クリスマスイブ…出かけてもいいですか?」


「なになに〜、デート?」



神崎さんがニヤッと笑う。



「は、はい……」



なんか恥ずかしいなぁ…



「体調がよかったらね、私の方から頼んでおくわ」


「ありがとうございます!」