「……」
「何で、病気は私を選んだの……っ!」
「柚……」
「死にたく、ないな……」
私はアハハッと乾いた笑いを浮かべる。
「大丈夫だ、柚は死なない」
「そんな保証なんてない……」
そうだよ、明日死ぬかもしれない。
私は、今そんな状況にいる。
和稀が私と一定の距離をとった。
そして、私の目を見る。
「柚が…もし死んでも。俺の中に生き続けてる。だから笑っててよ」
「え……?」
「笑ってる柚がいい」
な?と言って和稀が笑う。
「そうだね……」
本当は笑える状態じゃない。
だけど、私は笑った。
和稀のために、私のために……。
「それでよし」
チュッ
え、……?
唇に残る感触。
「……っ!じゃーな!」
和稀が顔を隠しながら走っていった。
その顔は……ほんのり赤かった。

