「有紗の彼氏が一昨日事故にあって……、死んだの」
「え……」
事故……
有紗さん……
和稀が私の手をそっと包み込んだ。
「有紗、それでずっと泣きっぱなしで…。『何で私を置いてくの…ねぇっ!』って…」
「……っ!!」
置い、て、く……
くらっと目眩がした。
待って、もうやめて……
私とかぶっちゃう……
「まぁ置いてかれたほうは辛いよね。急に付き合ってた人がいなくなるんだもん、私だったら耐えられな「やめろっ!!」」
もう、和稀の声も耳に入らなかった。
「ご、めんなさい…。私、帰ります…」
私は精一杯気持ちを悟られないようにしながらバックをとった。
「おい、柚!」
「柚ちゃん!?」
私は2人の声を背に急いで店を出る。
どこへ行くのかも分からないまま走った。
走って、走って……走った。
「ハァ、ハァ……」
もう走れなくなって、近くの公園で一休みする。

