和稀が手を差し出す。
私もその手に自分の手を重ねる。
「んでよぉ、律が……」
「うんうん」
たわいない会話をしながらドーナツ屋に向かう。
カランカラン
お店に入って席に案内される。
このドーナツ屋は、カフェみたいになっているから中高生にとっても人気があるんだ。
「柚何にすんの?」
「んー、チョコも捨てがたいけどいちごかな…」
メニューとにらめっこをする。
と、そこに
「あれ?和稀じゃん」
和稀のお姉さん、里香(リカ)さんがやってきた。
小さい頃和稀とたくさん遊んでたから里香さんとも面識がある。
「あ、姉貴」
「こんにちは柚ちゃん。久しぶりねぇ、同席していい?」
里香さんは和稀のことは無視して私に挨拶してくれた。
「いいですよ」
里香さんは、和稀に
「柚ちゃんの隣行きなさい、ホレホレ」
と言いながら私達の向かい側に座った。
「今日は私が奢るよ」
「ありがとうございますっ」
「珍しいじゃん」
「そんなこと言うなら和稀には奢らないよ」

