男の人は豊田(トヨタ)さんというらしく、女の子は加奈(カナ)と名乗った。


加奈さんは豊田さんの娘で、私より2つ上らしい。



「私と柚ちゃんのお母さんとは仕事で知り合ったんだ。私の妻は、私と加奈をおいて出て行ったから私は1人で加奈を育ててきた。それで……」



豊田さんが続きを話そうとした時、料理が運ばれてきた。


おいしそうなステーキ。


ナイフとフォークもピカピカだ。


私は豊田さんの話の途中だけど、さっそく食べ始めた。


おいしい……!


夢中になって食べていると、お母さんがさっき豊田さんが言おうとしていたらしい言葉を言い出した。



「それでね、柚。いきなり家族って思うのは難しいかもしれないけど私と豊田さん結婚しようと思うの」


「え……」



その言葉に、思わず手が止まる。



「お互いに1人で子育てするのは大変だし、そのおかげで分かり合える部分も多いし。お父さんを裏切るんじゃなくて、お父さんのために新しい幸せを掴むの。分かってくれる……?」


「お母さんが、そう、したいなら……」



そっか、お母さんが結婚…


私は戸惑いながらも賛成の意を示した。


すると豊田さんと加奈さんが順に口を開いた。