「ただいま……」
玄関で小さな声で言ってみる。
でも、もちろん返事はない。
自分の部屋へ行き、バックを投げ捨て、ベッドに寝転ぶ。
眠……
少しだけ、寝よ……。
……
「……柚?柚!」
ん?誰……?
「柚!」
「ふぁ〜。あ、お母さん。おかえり」
「ただいま。愛花ちゃんから電話よ」
お母さんはそう私に告げてリビングに戻っていった。
私も少しだるい体を起こして廊下にある電話のもとへ。
横に置かれている受話器をとる。
「もしも『柚!!何で電話でないの!!』」
出た瞬間愛花に大声で叫ばれた。
み、耳がぁ…。
「帰ってすぐ寝てたの」
『何度もケータイにかけたのに出ないから心配したよ……』
「ごめん、大丈夫だよ」
『聞きたいことがあるから、今から柚の家行くからね』
「えっ⁉︎ちょっ、愛花⁉︎」
プー、プー、プー
き、切られた……。
待って私制服じゃん!
うわ〜シワになる〜
じゃなくて!!!
着替えなきゃ!
私はドタバタと階段を駆け上る。

