そして車に乗って待ち合わせ場所に移動する。
これも最初はできなかったんだよなぁ…、と助手席で苦笑する。
お母さんはお父さんが死んでから免許をとった。
それまでは、出かけるとなったらお父さんが運転してくれてて。
お母さんは最初、お父さんの車を使って運転していたけど、慣れてくるまでは私が普段しない車酔いをしてしまうほど不安定だった。
でも今は音楽をかけながら運転できるほど。
たまに会話もできる。
お母さん本当に運転上手くなったなぁ…
そんなことを考えているうちに目的地に着いた。
「す、すごい……」
目の前にあるのはとてもキラキラしたレストランで、少し入るのをためらうほどだった。
中に入り、お母さんが名前を言うと奥の席に案内された。
案内されている途中も、店の内装の綺麗さに驚いて私はキョロキョロしてばっかだった。
「こちらの席へどうぞ」と案内された席には誰も座っていない。
お母さんの会わせたい人、というのはまだ来てないんだ…
案内された席は、テーブルクロスはきれいに整えられていて、椅子もふわふわだった。
2人ずつで向き合う形になっている。
席に座り、少しの間お母さんと話していると、男の人と私より少し年上くらいの女の子が来た。
「こんにちは。えっと、あなたが柚ちゃんだね?」
「あ、はい!こ、こんにちは……」
すごく大人な人。
スーツも着こなしている。
男の人は女の子にも、挨拶するように促した。
「こんにちは」
女の子がふわっと笑う。
それから2人が席に座って、お互いに自己紹介をした。

