歩きだから荷物が多い日は大変だけど、くるくる変わる景色を見ながら学校に行くのはけっこう面白い。


きれいに手入れされた庭がある家、


大きな犬がいる家、


いつも笑い声が聞こえてくる家……


そんな家の近くを歩くのは楽しいし、
愛花の話は聞いてて飽きないから長い登校時間もあっという間に感じられる。


私が愛花の話を聞きながらぼーっと歩いていると学校に着いた。



「おっはよ〜!」


「おはよう」



私は、この半年間絶対に楽しむんだ!
と張り切ってクラスに入った。


そして大声で挨拶をする。


皆にこやかに返してくれるのに、1人だけは違った。



「おい、柚。朝から声でけぇよ」


「もう和稀(カズキ)!元気なのはいいことだっつーの!」



と、私に文句を言ってきたやつに愛花が言ってくれた。


私は、ふっ、と和稀に向かって勝ち誇ったような笑みを浮かべる。


すると、和稀は舌打ちをしてそっぽを向いてしまった。


和稀は幼馴染で、何かあればこうやって私に突っかかってくる。


愛花感謝っ!



「柚、今日さ、放課後遊ばない?アイス食べに行こーよ!」



と、愛花に誘われた。



「ごめん。何か、お母さんが会わせたい人がいるから早めに帰ってきて、って。誰なのかは知らないんだけど……」