「私からもお願いします」
お母さんも頭を下げてくれている。
お医者さんは少し考え込むようにして、
「最近痛みのほうはどうですか?」
と言った。
「ほぼ毎日…です……」
行けない…のかなぁ……
心臓の痛みはいつくるか分からない。
時間帯も全然決まっていないし、何の前兆もないから危ないというのは自分でも分かってる。
「柚には後悔のないようにさせてあげたいんです」
お母さん……
お母さんの言葉を聞くと、お医者さんは何かの資料を確認し始めた。
何枚かペラペラとめくってその資料を読むと、隣の紙に何やら書き始めた。
書き終えてペンを置くと、その紙を看護師さんに渡す。
「薬を処方しておきました」
やった……っ!
私の顔がパァっと輝く。
「3日くらいなら急に痛みが襲ってくるということはないと思いますが、使いすぎには注意なので今回だけですよ」
「はい…っ!ありがとうございます」
私とお母さんはお礼を言った。
修学旅行に行ける……!
「では、薬を受け取って気をつけて帰ってくださいね」