どれくらい経ったか分からない。
でもふとお父さんが話し始めた。
「私もお母さんと同じだ。柚の気持ちが大事だと思う」
「お父さん……」
「何もしてやれないで、ごめんな」
「全然っ…!」
私のことをそこまで考えてくれて、とっても嬉しい。
「私もっ……!」
お姉ちゃんが叫びに近い声を上げる。
「私も……。なかなか受け止められないけど最期まで柚と楽しい思い出、作りたい……」
「お姉ちゃん……」
あったかい。
私にはこんなにあったかい家族がいる。
お母さんだけじゃなくてお父さんもお姉ちゃんも……
ん?
何か忘れてるような……
家に帰ったらすること。
「あ!!」
思い出した!
超、重要だよこれ!!
「柚、どーしたの⁉︎いきなり大声なんか出して!」
お母さんが心底びっくりしたような顔で私を見る。
「あのね、今から病院行かなくちゃいけないの」
「どこか悪いの?」
「違くて。お医者さんに2泊3日の修学旅行の許可をもらわなくちゃいけないの」

