「お前の病気のことは親御さんから聞いている。修学旅行のことは病院側は何と言っているんだ?」
あ、そのこと……。
それって、病院側がダメって言ったら修学旅行には行ってはいけないということだよね。
「いえ、病院には言っていません。なので分からないです」
「そうか…。なら今日家に帰ったら親御さんと病院に行きなさい」
「分かりました」
そう言って応接室を出る。
教室に戻ると他の子と話していた愛花が私のところにきた。
「少し遅かったね?何だったの?」
「ううん、最近ちょっと授業に集中できてないって、それだけ」
私は誤魔化すように笑う。
「そっか」
嘘…ついちゃったなぁ。
心配かけたくなかった。
キーンコーンカーンコーン
「ほら、チャイム鳴ったよ!柚座らなきゃ!」
「ヤバいっ!」
私は急いで席につく。
私の苦手な英語の授業が始まる。
ちゃんと聞かなければいけないのに集中なんてできない。
多分、修学旅行は私にとって最後の一大イベントになると思う。
それを行かない、なんて嫌だ。

