「和稀……まだしおり、持ってる?」
クリスマスイブの日、
「大事にしてほしい」って柚がくれたもの。
「ん。大事にしてる。……ってか、何でしおりのこと知ってんの?」
「そう。私はこれ持ってるし、和稀にあげるって言ってたから」
愛花はバッグの中から1枚の写真を取り出した。
柚としおりが写ってる写真。
折れないように写真立てに入れてある。
「いつもは部屋に飾ってるんだけど、今日は一緒に来たくてさ」
愛花がへへっと照れたように笑う。
「そっか」
「和稀は?今持ってんの?」
「あぁ」
俺もポケットからしおりを取り出した。
ちなみに、手紙も……持ってきた。
「その花ってさ…何の花か分かる?」
「あ、考えたことなかったわ……」
俺はしおりの青い小さな花を見る。
でも花なんか全く知らない俺が分かるはずがない。
「手紙には書いてなかったんでしょ?」
「あぁ……」

