「私…今日はもう帰ります…。すいません…」 私は病室を出る。 周りから見れば、かなりふらふらしていたと思う。 帰る…と言ったものの、そんな元気なんかなくて、 病院内の椅子に腰を下ろす。 そしてさっき受け取った “愛花へ” って可愛い柚の字で書かれた手紙を見つめた。 「ふぅ……」 手紙を読むのに緊張している自分がいる。 それでも……読もうと思う。 封を開け、私は、1文字1文字にゆっくり目を通し始めた。