……
帰りたくないのに、無情にも私の病院はどんどん近づいてくる。
和稀も同じ気持ちなのかな…?
いつもより歩くペースがゆっくりな気がする。
展望台を出てから、2人ともずっと無言。
でも手は繋いだままだから安心できる。
何でこんなに、1日って早いんだろう…
もう出かけられないかもしれないのに。
これが最後かもしれないのに。
「つい…ちゃったね」
目の前には病院。
中でお医者さんや看護師さんが働いているのが見える。
「……」
「楽しかったねほんと!いや〜、展望台の景色キレイだったな!」
和稀がさっきから無言だから思わず早口でまくしたててしまう。
「じゃあもう遅いし帰「なぁ」」
「え…?」
急に和稀が話しかけてきた。
でもそれっきり下を向いたまま。

