この曲――
よく聞いてみると、哀しい曲なんだな…
「こ、この声…
前のボーカ………」
「え…?」
彼女は急に私の前に移動すると、自己紹介を始めた。
「私の名前は、斉藤 茜、20歳。直ぐ近くの服飾専門学校の2年生よ。
元々は都野市の出身だけど、今は本町駅の1つ向こう側の、立町駅の近くに住んでるの」
余りに突然の事で、キョトンとしていると、斉藤さんは右手を差し出して言った。
「あなたの名前は?」
「か、川崎 順子です」
斉藤さんは強引に私の右手を握ると、力強く言った。
「必ずまた会うわ!!」
斉藤さんは、手を振って駅の外に去って行った。
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