「先生の自宅の機材を運んで来た時は、本当に驚きました…

記憶のダウンロードまで出来るとは、本当に素晴らしいです!!」


「ふふ…
でもね、世間には公開出来ないのよ。

記憶操作が可能っていう事になるから……」





そ、そうだったのか!!

私の記憶は、バックアップされたデータだったんだ!!


だから、あの日の前日からの記憶しかなかったんだ――




でも…
もうそれでいいや。



事件は解決したし…

山岸さんも、
桜井さんも、
天国に行ったし――



それに、自分が殴られた記憶なんていらない。
しかも、その相手が佐知子だなんて…

そんな記憶なら
ない方が絶対にいい。





私には、小夜子と智子、優しい母…




そして、外科部長の父がいれば、それで…


それで幸せだから――




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