男の子はその言葉を聞いて、声を出して泣き始めた…
女の子は男の子の手を握って、微笑んでいた…
その姿が…
男の子は山岸さんに、女の子は桜井さんに重なって見えた――
暫くすると…
2人の姿が淡く光り、少しずつ薄くなり始めた。
少しずつ色が薄くなり、輪郭がぼやけていく――
男の子はずっと泣いたままだ…
私の心に女の子の声が、直接響く様に聞こえてきた――
「ありがとう…」
その瞬間…
2人の姿は小さな光の玉になり、弾けて消えた――
携帯電話を見ると、待受画面から男の子の絵は消えていた…
そして、小指の小さな指も。
終わったんだ…
何もかも終わったんだ。
私は最後に山岸さんを確認する為、ロッカーへと歩いて行った…
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