競技場の土手に植えられた木の下を通っている時、私はついに話を切り出した。


「この辺り気持ちいいね…
ちょっと、そこのベンチ座らない?」

2人で競技場に向かって置かれた、木陰のベンチに並んで座った。


「ねえ、佐知子…」

「なに?」


「佐知子って、歌凄い上手いじゃん…

バンドのボーカルとか、してたんじゃないの?」

「えっ…!?」


佐知子はかなり動揺して、視線を逸らした。


「私ね…
先週から、白い服を着た男の子に取り憑かれいて、何度か襲われたの…

それで、その男の子を調べていたら、佐知子に辿り着いたのよ。


佐知子…
私が取り憑かれてる事を、知ってたよね?

私の携帯の待受画面見て…『赤』と言おうとしたもんね。


私…
次に狙われてるのが佐知子だと分かってるし、心配で本当に心配で…


だから私は、一刻も早くこの事件を解決したいの。

知ってる事、全部話してくれるよね?」


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