桜井さんの想い…
しっかりと、私が受け取りました。
後はこの想いを、私が山岸さんに届けるだけだ――
そして、新メンバーの最後の1人を探し出し助けるんだ!!
私は桜井さんの母に譜面を渡して、深々と頭を下げた。
その譜面を見て、桜井さんの母は人目も憚らず泣き崩れた…
「裕一はね…
ずっと香織さんが…
子供の頃からずっと、好きだったのよ。
でも…
うちはこんな小さな酒屋でしょう?
だから私が、釣り合わないからって…
本当は音楽で成功して、香織さんを迎えに行きたかった筈なのに…
だけど、うちは母子家庭だからその夢も諦めて…
あの子は一体、どうするつもりだったんでしょうね……」
私には分かる――
きっと山岸さんは、もし自分の両親が反対すれば、躊躇せず家を飛び出して桜井さんと一緒になっていただろう。
それにそもそも、誰も反対なんてしなかったと思う。
誰の目から見ても、2人は強く結び付いていたんだから――
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