「もう、1ヶ月半位前になるかしら…

日曜日の夕方、家族4人で夕飯を食べていると、香織の携帯電話が突然鳴って――

その電話を受けた瞬間、今迄笑っていた香織の表情から笑みが消え、一気に表情が見た事もない程険しく変わった。


そして電話を切るとすぐ、食事も中途半端だったにも関わらず箸を置き…

『ちょっと今から大学に行ってくるから。少し遅くなるかも知れないけど、気にしないでね』
と言って出たきり…」


「出た切りって…

連絡もつかないんですか?」


母親は気丈に、涙を堪えながら続けた。
「最初、携帯電話はコールだけはしていたんだけど…

そ、それも…
な…なくな…り……」


母親は感極まり、声を詰まらせてしまった…

娘の身を案じているのと同時に、悲劇的な結末も脳裏に浮かんでいるのだろう――


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