看板を目指して歩いて行くと、直ぐに山岸内科に辿り着いた。
病院をよく見ると、建物が隣りの家と繋がっている…
どうやら、隣りの薄いオレンジ色の屋根の建物が自宅の様だ。
私は自宅の表に行くと、呼び鈴を押した。
すると、中から直ぐに応答があった…
「はい、どちら様ですか?」
上品で尚且つ張りのある声は、いかにも医者の奥様という雰囲気だ。
多分この応対している女性が、山岸さんの母親だろう。
「あ、あの…
私、山岸さんと高等部からの同級生で川崎と申します。
香織さんにお会いしたいんですが」
あ、あれ…?
暫く何とも言えない沈黙が続いた。
「そこでは人目もありますから、どうぞ中にお入り下さい…」
目の前にある大きい鉄製の門が、自動で開いた。
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