「あっ…
私そろそろ、学校行かないといけないわ。

これ、私の連絡先ね――」


そう言うと茜さんは慌てて立ち上がり、伝票を持って急いでレジに向かった。

そして途中で振り返ると、奇妙な事を口にした…


「以前聞かせてもらった【one】という曲ね…

あれは間違いなく、桜井さんの声だと思う。それにメロディも…


ただ、私はその曲を聴いた事がないし、存在すら知らなかった。

当然、レコーディングなんてしてないと思うわ」


え――?


「あ…ありがとうございました」


茜さんは後ろ向きに左手を軽く上げると、店を出て行った。


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