考えてみれば、当然の事だ…
見ず知らずの人に、例え知っていても連絡先など教える筈がない。
仕方ない、明日出直そう…
携帯電話をポケットから取り出して、時間を確認した。
「16時20分か…」
そろそろバイトの時間だし、コンビニに行くか…
来た道を戻ると、コンビニに向かう為に横断歩道を渡った。
私は道中、歩きながら考えていた…
私は本当に、正しい方向に向かっているのだろうか?
私は真実へと、間違いなく近付いているのだろうか?
今日もずっと、小指は痛まない――
コンビニに着き裏に回ると、いつもの様に佐知子が座っている姿が見えた。
佐知子はまだ私が来ている事に、気付いてない様だった…
「佐知子!!」
「うわあ!!」
「あ、ごめんごめん。
普通に声を掛けたつもりだったんだけど。
はい、携帯――」
「い、いいのよ。
ちょっと驚いただけだから…本当に気にしないで」
そう言うと、携帯電話を凄い勢いで私の手から取り上げた。
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